ビカクシダ(コウモリラン)の基本的な育て方
一風変わった植物 ビカクシダ ですが、ポイントを押さえれば、栽培は難しくありません。
このページでは、基本的な育て方などご紹介していきます。
栽培温度 10~30℃(20~25℃が最適)
置き場所 日当たりと風通しの良い場所。
屋外栽培の場合は、夏場の直射日光は葉焼けを起こすため、50~70%程度の遮光が必要です。
屋内栽培の場合は、明るい窓際に置くか、窓がない環境でもLED照明を活用すれば生育可能です。
窓辺の場合、西日が当たると葉焼けの危険があるため、遮光カーテンなどで光量を調整します。
水やり 土や水苔などの植え込み材が乾いたら、シャワーで全体を流すようにたっぷり与えます。コルクなどに着生させている場合は、ソーキングでも可能です。なお、水流が強すぎると、葉の表面の星状毛がはがれる可能性もあります。やさしく水やりをしてください。
夏季:午前中か夕方の気温が下がってから(30℃以下が目安)
冬季:気温が上がったお昼ごろ(10℃以上が目安)に与えましょう。屋外が寒すぎる場合は、お風呂場やキッチンなど、室温を確保できる場所で与えてください。
※水温が凍る様な冷たさですと、植物の成長が止まる場合があります。水温も室温に合わせた調整をしましょう。
春・秋:夏や冬ほど神経質になる必要はありませんが、気温と水温にだけご注意ください。
日々のメンテナンスとして葉水を与えると、害虫予防にもなり葉がきれいに生え揃います。
なお、常時濡れたままの状態は根腐れやカビの原因となるため、適度に水を切る必要があります。
肥料 基本的には月に1~2回、緩効性化成肥料を与えます。常温栽培(自然な気温)の場合、冬季は成長が緩慢になるため、肥料は控えましょう。温室栽培などで常時20~25℃前後を維持できる環境の場合は、季節問わず成長を見ながら適度に与えてください。水やりの際に、液体肥料や活力剤を与えるのも効果的です。
ポイント 病害虫予防や代謝の促進のため、適度な空気の流れ(風)を必要とします。特に屋内栽培の場合は、サーキュレーターなどを用い、人工的に空気の流れを作ることが効果的です。
※強すぎる送風は、植物を痛める原因になります。最悪の場合、根元から折れてしまいます。サーキュレーターや扇風機などは「弱」運転で充分です。人が感じる「そよ風以下」で良いと覚えておきましょう。屋外が強風の日は、屋内に退避させてください。
ここまで読んで頂ければお判りのように、ビカクシダの育成には 光・温度・水・風 が重要です。
ポイントを押さえて、よりよいビカクシダライフをお楽しみ下さい。
ビカクシダ(コウモリラン)の育て方 よくある質問 Q&A
- Q葉に白いホコリみたいなものが着いている。とるべき?
- A
それは星状毛といって、葉の表面を紫外線や害虫から守ったり、水分の過度の蒸発を防ぐ役割があります。必要な機能なので、そのままにしてください。
なお、品種によっては成長の過程で星状毛が薄くなっていきますが、生理現象であり普通のことです。あまり神経質になる必要はありません。
- Q葉っぱが茶色く枯れてきた。
- A
貯水葉は時間が経つと茶色く枯れていくのは正常です。茶色くなっても、根を守ったり・水を貯える役割を担っているため、取り除かずそのままにしてください。しかし、黒ずんでブヨブヨしていたり、カビが生えているようであれば、根腐れの可能性があります。植え込み材をしっかり乾燥させ、植物用殺菌剤など散布すると効果があります。
胞子葉も時間が経つと自然に枯れ落ちていきます。しかし、葉が成長しきる前に葉先だけが茶色い、または縮れている様であれば、水切れの可能性があります。水やりの頻度を増やしてください。
一部分だけ黄色~茶色に変色しているようであれば、葉焼けの可能性があります。直射日光などに当てると起こる現象です。光が強すぎるため、遮光するか置き場所を変えましょう。
- Q葉っぱに黒・茶色の小さな斑点が出ている。
- A
カビや病気の可能性があります。緊急対策として、植物用殺菌剤を散布し、拡大を止めましょう。
根本対策は栽培環境の見直しが必要です。水やり後、しっかりと水切りをし、風の通る場所に移動しましょう。
葉の表面や裏に2~3mmの丸い貝殻の様な物体(白や茶色)が付着している場合は、カイガラムシという害虫です。1mm程度の白い粉の様な物体の場合は、コナジラミという害虫です。どちらも葉から養分を吸った跡が斑点として残ります。成長を妨げるため、見つけたら殺虫剤で駆除しましょう。
なお、害虫が葉の表面にびっしりと付着している場合は、卵が付着している可能性もあり、殺虫剤だけでは除去ができません。直接ふき取るか、ひどい場合は葉を切り落としましょう。
カビや病気・害虫対策にも、空気がよどまない=風が通る場所が重要です。サーキュレーターでの送風が効果的です。
- Q水やりは1週間に1回で大丈夫?
- A
1週間に何回という正解はありません。
鉢植え・板付け・苔玉それぞれの植え込み材、栽培環境によってまちまちです。栽培に慣れるまでは、植え込み材を直接 手で触ってみて、乾いていたら水やりをするようにしましょう。
乾く→湿らす(水やり)→乾く…のサイクルで、根が水を求めて活発に動きますので、2~3日で乾くような水やりを心掛けてください。
- Q苔玉栽培の場合、苔は常に湿らせた状態にするのが正解?
- A
結論から言いますと、やめましょう。常に湿った状態は、根が呼吸を出来ず(窒息する)根腐れを起こす原因になります。また、苔の劣化が早まったり、カビが生える原因にもなり、株が弱ってしまいます。
乾く→湿らす(水やり)→乾く…のサイクルで、根が水を求めて活発に動きますので、2~3日で乾くような水やりを心掛けてください。
なお、上級者向けのマダガスカリエンセ(madagascariense)など、湿度の高い環境を好む種類も一部あるため、それぞれの特徴に合わせた環境づくりも必要となります。栽培に慣れるまでは、ビフルカツムなど育てやすい品種を選ぶことをオススメします。
- Q肥料は必要?
- A
日本国内での栽培下では必要です。「あまり必要としない」などの記事を見ることがありますが、それは自生地での話であり、栽培環境下では成長に必要な養分が不足しますので、緩効性化成肥料や液体肥料など、与えるようにしましょう。むしろ、『肥料食い』と言われるほど、肥料を与えると大きくなります。
あえて『日本国内での栽培下』と書きましたのは、海外では水道水だけでも充分育つ可能性はあるからです。日本の水道水は、ミネラルの含有量が少ない軟水がほとんどです。そのため肥料の添加が必要になります。逆に海外では、ミネラル分が多い硬水の地域も多く、水道水だけでも育つ可能性があるわけです。
※ミネラル=カルシウム、リン、カリウムなど。
※国内でも一部、硬度の高い水が出る地域はあります。
このような理由から、一部プロショップやナーセリーでは、小型のプールに水を汲み置きし、ミネラルを添加したり、自然に微生物が発生する状態を作り(=アクアリウムなどで言う「水作り」)養分を含んだ水で、ソーキングや水やりをされています。これは難易度が高い水やりのため、肥料が手っ取り早くオススメです。